あっという間にカンヌ映画祭が終わった。
受賞者の顔ぶれを見ると、審査員長のイザベル・ユペールが独断で身内に賞を振り分けたような印象を与える。
最優秀女優にシャルロット・ゲンズブール、特別賞にアラン・レネ、グランプリにジャック・オディアールとフランス勢ばかり。
極めつけはパルム・ドールを受賞したミヒャエル・ハネケは数年前イザベル・ユペールと『ピアニスト』という作品を撮っており、ユペールはこの作品でカンヌの最優秀女優賞を受賞している。
そのお返しに今度はユペールがハネケにパルム・ドールを贈ったととられても不思議はない。
が、実は審査員の中で意見が分かれてしまったので、その中間をとってハネケにパルムを与えたということらしい。
実際、大本命はジャック・オディアール(監獄の暴力を描いた作品)、対抗にペドロ・アルモドバル(事故で失明した男の話)と言われていた。
夫もオディアール作品を見て来たが、皆が賞賛していたらしい。
最優秀女優賞受賞のシャルロット・ゲンズブール主演のラース・フォン・トリアーの新作は基本的に散々な批評を得ている。
もともと挑発的な映画を作る人だ。
2000年の『Dancer in the dark』以降彼の作品は見ていないから最近の傾向はわからないが、たとえば1998年の『Les Idiots』 はやはりその挑発性から相当批判されたが(パゾリーニの『ソドムの市』のような感じだ)、実際に見た時は素晴らしいと思った。
今回は反キリストが題材で性器を切り取るシーンがあるらしいが、とてつもなく挑発的で大部分の人は反発を覚えるかもしれないが、人を惹き付ける魔力のある作品を作る監督なのだ。
だから一部の審査員がトリアーにパルムをと望んでも何の不思議もない。
が、ノーマルな審査員はオディアールこそパルムにふさわしいと思うだろう。
で、譲り合えない2作品の後に続いたのがハネケだった。
というシナリオだ。
本当かどうかは知らない。
そういう噂があるだけだ。
これら三作品を見比べれば何かわかるかもしれないが、ハネケの作品は見てハッピーになれるものではないから(今作品はナチズムの誕生を描いたもの)、見に行く可能性は少ない。
独身の頃と違って時間があり余っているわけではないから、映画は効率よく楽しく見たい。
まあそう言い出したらどれも見に行けないが…